さて、本作に登場する戦艦は、USS Missouri,BB-63戦艦ミズーリ号である。本艦は、太平洋戦争中の1944年六月に就役し、一時予備役に入ったものの改装され、その後の1990年に勃発した対イラク湾岸戦争でも任務に就き、ようやく1992年三月になって退役したBattleshipである。
戦艦ミズーリ号と言えば、太平洋戦争史の最後を飾る、1945年九月二日に、日本が連合国諸国に対して無条件降伏したことを認める調印式がその艦上で行なわれた戦艦であった。ウィキペディアによると、この日、東京湾にあった本艦艦上の出来事は以下のようであったようである:
「全ての連合国軍高官がミズーリに乗艦した。チェスター・ニミッツ海軍元帥は8:00直後に乗艦した。連合軍最高司令官ダグラス・マッカーサー陸軍元帥は8:43に乗艦し、日本側全権代表団は8:56に到着した。アメリカ海軍では、乗艦している最先任の海軍将官の将旗のみをメインマストに掲げると規定されているが、降伏調印式では、マッカーサーの要求で例外的に、海軍元帥の将旗だけでなく、陸軍元帥の将旗も掲げられた。9:02にマッカーサー元帥がマイクの前に進み、降伏調印式は23分間にわたって世界中に放送された。式中甲板は2枚の星条旗で飾られた。1枚は真珠湾攻撃時にホワイトハウスに飾られていた物(48州の星が描かれた星条旗)、もう1枚は1853年の黒船来航で東京湾に現れたマシュー・ペリーの艦隊が掲げていた物(31州の星が描かれた星条旗)である。」
このペリー艦隊との関連付けは、マッカーサーの演出であったと言われ、ミズーリ号の係留場所は、ペリー艦隊の旗艦Pawhatanポーハタン号が日米和親条約の署名の際に停泊した場所と同じ場所であった。この降伏文書調印式には、USA以外は、中華民国、イギリス、オーストラリア、ニュージーランド、カナダ、オランダ、フランスにソ連が加わり、日本側からは、天皇及び帝国政府を代表して重光葵外務大臣が、大本営を代表して梅津美治郎参謀総長などが出席した。
この歴史的に由緒ある戦艦ミズーリ号は、US海軍の超弩級戦艦アイオワ級の三番艦として建造された。本作における見ものの一つである、本艦主砲斉射の場面は、ウィキペディアにある、湾岸戦争時の写真でも確認できる。故に、本艦と戦艦大和と比較して、本作での本艦の「活躍」を相対化してみようと思う。各項目の左側の数字がミズーリ号のもの、右側の数字が戦艦大和のものである。
基準排水量 45.000t 64.000t
満載排水量 58.000t 72.800t
全長 270,4m 263,4m
最大幅 33m 38,9m
主砲 50口径40,6cm三連装砲 45口径46cm三連装砲
両艦をこのように比較してみると、全長以外は、大和の方が全て数値が上回っており、当時の戦艦建造技術において日本が如何に優れていたかが垣間見られるのである。
ところで、本作の、少々冗長な序盤で、US・Navyと日本海軍が親善サッカー試合をする場面がある。その際、日本海軍チームの選手の背中には、旭日旗が貼り付けられている。筆者は、一時、旧帝国海軍が生き返ったのではないかと、目を疑い、後で調べてみると、旧帝国海軍の軍艦旗である「十六条旭日旗」は、現代にも生き延びていることを知り、少々思うところがあった。改めて問うに、日本人は、「先の大戦」と歴史的にどう向き合っているのであろうか。
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