そこで、『テムペスト(大嵐)』のあら筋を調べてみた。ウィキペディアによると、以下のようになる:
「ナポリ王アロンゾー、ミラノ大公アントーニオらを乗せた船が大嵐に遭い難破、一行は絶海の孤島に漂着する。その島には12年前にアントーニオによって大公の地位を追われ追放された兄プロスペローとその娘ミランダが魔法と学問を研究して暮らしていた。船を襲った嵐はプロスペローが復讐のため手下の妖精エアリエルに命じて用いた魔法の力によるものだった。
王の一行と離れ離れになったナポリ王子ファーディナンドは、プロスペローの思惑どおりミランダに出会い、2人は一目で恋に落ちる。プロスペローに課された試練を勝ち抜いたファーディナンドはミランダとの結婚を許される。
一方、更なる出世を目論むアントーニオはナポリ王の弟を唆して王殺害を計り、また島に棲む怪物キャリバンは漂着したナポリ王の執事と道化師を味方につけプロスペローを殺そうとする。しかし、いずれの計画もエアリエルの力によって未遂に終わる。」
G.Peck演じるStretchは、ここでは、ナポリ王アロンゾーとその息子ファーディナンドを併せた人物であろう。故に、Stretchは、強盗団を率いており、Yellow Skyに到着するや、彼は、Constanceを演じるA.Baxterに一目惚れするのである。Constanceの祖父が、『テムペスト』におけるプロスペローであろう。こうして、劇における「絶海の孤島」こそが、Death Valleyという海に囲まれた「孤島Yellow Sky」なのである。
本作における、R.Widmark演ずるところの悪役Dudeとは、こうなると、プロスペローを追放したミラノ大公アントーニオと怪物キャリバンを併せた存在である。こう読み解いていくと、本作は、非常に面白く、制作年の1948年という時代に、既に正統ウェスタンをひねくる作品が撮られていたことに敬意を表する。
後の映画作品において、USAの「良心」を体現する俳優G.ペックが、最初は、強盗団の首領という「悪役」を演じることに、観ている筆者は違和感を感じざるを得ないのであったが、物語りが展開するに従って、やはり、改心するStretchになって、納得したのは、何も筆者だけではなかったであろう。
一方、善玉の対局となるDudeは、救いようのない悪玉であるが、それを黒ずくめの衣装で体現したR.ウィドマークの演技力の凄みは、「悪の魅力」を徹底的に見せていて、賞賛に値する。1914年生まれのR.ウィドマークは、戦時中の1943年にブロードウェイで舞台俳優としてデビューした後、戦後の47年に映画界にも進出する。
後の映画作品において、USAの「良心」を体現する俳優G.ペックが、最初は、強盗団の首領という「悪役」を演じることに、観ている筆者は違和感を感じざるを得ないのであったが、物語りが展開するに従って、やはり、改心するStretchになって、納得したのは、何も筆者だけではなかったであろう。
一方、善玉の対局となるDudeは、救いようのない悪玉であるが、それを黒ずくめの衣装で体現したR.ウィドマークの演技力の凄みは、「悪の魅力」を徹底的に見せていて、賞賛に値する。1914年生まれのR.ウィドマークは、戦時中の1943年にブロードウェイで舞台俳優としてデビューした後、戦後の47年に映画界にも進出する。
この年の、H.ハサウェイのフィルム・ノワール作品『死の接吻』ですぐに一躍有名となり、ゴールデン・グローブ賞で新人俳優賞を獲得し、同年度のアカデミー賞にノミネートされた程であった。その翌年の本作での出演は、その彼の実績を受けたものであった。このR.ウィドマークの「悪の魅力」と、撮影監督Joseph MacDonaldの手堅い白黒撮影を、本作を以って、映画通としては堪能したいものである。
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