USAにおける、いくつもある情報機関の活動を調整する、閣僚級の人物、USAにある、いわゆるIntelligence Communityインテリジェンス・コミュニティー全体の統括官が、Director of National Intelligence国家情報長官(略称:DNI)である。この統括官の下には、16の情報機関が活動しており、この内、対外諜報を任務とするのが、有名なCIA、つまり、Central Intelligence Agency中央情報局で、DNIの直属として組織されている。さらに、組織的は、各連邦省の傘下の情報機関が、15あり、例えば、有名な組織が、司法省の管轄下のFBIである。FBI、Federal Bureau of Investigation連邦捜査事務局は、CIAが対外情報担当であるのにたいして、国内情報担当であると言える。司法省以外にも、例えば、財務省や国務省などにも独自の情報機関があるが、United States Department of Defenseアメリカ国防省傘下には、四つの情報機関がある。
この四つの機関の一つが、National Reconnaissance Office国家偵察室(略称:NRO)で、この機関の担当は、宇宙空間ということになる。また、エドワード・スノーデンの情報暴露により、そのデジタル情報の違法な収集活動で注目を集めたNational Security Agency国家安全保障局(略称:NSA)も国防省傘下の情報機関である。
しかし、国防省傘下の四機関の内で、Defense Intelligence Agency国防情報局(略称:DIA)が、陸・海・空軍及び海兵隊の各軍の情報機関を統括する形で活動しており、この機関は、1961年に軍事情報を専門に収集・分析し、各軍がさらに独自に持っている情報機関から上がってくる情報を整理する部署として設置されたものである。
本部は、ワシントンD.C.にあり、各国の大使館にいる駐在武官の人事も、このDIAが管轄している。DIAの部局(Directorates)は、四つあって、分析部、オペレーション部、科学技術部、ミッション・サービス部に別れており、アメリカ、アジア・太平洋、ヨーロッパ・ユーラシア、中東・アフリカ地域と分担してそれぞれ情報センターを置いている。また、Defense Combating Terrorism Centerと呼ばれるセンターという、対テロリズム部門もあり、本作の主人公で、元DIAの凄腕の特殊工作員たるロバート・マッコールは、この対テロリズム部門の要員であったかもしれない。
さて、ヴィジランテものである本作シリーズは、第一作で『タクシー・ドライバー』的ストーリーを軸にした展開であったものが、今回の第二作目では、一部の批評ではあまり新しみがないストーリーであると言われているのに対して、筆者は、好意的な評価を加えるものである。なぜなら、本作では、R.マッコールの古巣たる国防情報局DIA組織の内部的腐敗がストーリーの基軸になっており、ヴィジランテものに政治スリラー的要素が加わっているからである。
登録:
コメントの投稿 (Atom)
青い山脈(日本、1963年作)監督:西河 克己
冒頭から立派な天守閣が大きく映し出され、早速、この城にまつわる話しが講談調で語られる: 「慶長五年八月一八日の朝まだき、雲霞の如く寄せる敵の大軍三万八千に攻め立てられ、城を守る二千五百の家臣悉く斬り死に、城主は悲痛な割腹を遂げ、残る婦女子もまた共に相抱いて刺し合い、一族すべて...
-
主人公・平山の趣味が、1970年代のポップスをカセットテープで聴いたり、アナログ・カメラで白黒写真を撮ったりすることなどであること、また、平山が見る夢が、W.ヴェンダースの妻ドナータ・ヴェンダースの、モノクロのDream Installationsとして、作品に挿入されているこ...
-
中編アニメ『言の葉の庭』(2013年作)で大人のアニメへの展開を予想させた新海アニメ・ワールドは、次の、長編アニメ『君の名は。』(2016年作)以降、『天気の子』(2019年作)を経て、本作(2022年作)へと三年毎に作品が発表され、『言の葉の庭』とは別の歩を辿る。『君の名は。...
-
映画の出だしで、白黒で「東映」と出てくる。もちろん、本作の配給が東映なので、そうなのであるが、しかし、『カツベン!』という題名から言えば、「日活」が出てほしいところである。「日活」とは、 1912 年に成立した、伝統ある映画会社であり、その正式名称が、 「 日本活動冩眞株式...
0 件のコメント:
コメントを投稿