2026年9月13日日曜日

ガンヒルの決斗(USA、1959年作)監督:ジョン・スタージェス

 監督のジョン・スタージェスは、男同士の友情を描くのが好きな監督である。1957年には『OK牧場の決斗』を撮り、ワイアット・アープ(バート・ランカスター)とドク・ホリデー(カーク・ダグラス)の奇妙な関わり方を描く。この時のスタッフが、脚本家以外は殆んどそのまま本作制作には動員されている。音楽担当のディミトリ―・ティオムキンしかり、編集担当のウォーレン・ロウもしかりである。撮影監督のチャールズ・ラングは、今回も冴えた腕を示して、本作が描く19世紀末のUSA西部の世界を映像化している。アリゾナ州やカルフォルニア州の西部劇に特徴的な荒野を、人物は黒点にしながら、パノラマ的展望で見せる映像は、パラマント社が1950年代に開発したワイド・スクリーン「VistaVision」と、野外撮影では輝度の高い色彩を持つTechnicolorとが相まって、流石はウェスタン映画の映像的醍醐味を満喫させてくる。(尚、今作での室内撮影では、Technicolorでありながらも、色調が重厚になっており、興味深い。)

 ある原作を基にした本作の脚本は、残念ながら、ストーリー展開に説得性が足りないのであるが、K.ダグラス演じる主人公が北米原住民の女性と結婚しているという最初の設定が特徴的である。しかも自分の妻を殺された主人公は、Marshalであり、治安の保全者が正義の回復のために行動を起こす。しかし、世は19世紀末であり、暴力よりは法の支配が貫徹している時代である。主人公は、リンチをしたくてならないところを、それを押さえて、妻を殺した殺人犯を法の手に委ねようとするのであるが、犯人の絞首刑を望む主人公は、捕まえた犯人に向かって、裁判から判決、更に、判決執行に及んで、絞首刑の縄にぶら下がった犯人の死の孤独を、まるで、ホラー小説の残忍なクライマックスを読み上げるように、語るのである。この迫力あるシーンをK.ダグラスは好演しており、このシーンを観るだけでも本作を観た甲斐があったと言うものである。

 西部劇には紅一点とでも言えるヒロインが必要である。本作の不幸のヒロイン役を演ずるのが、Carolyn Jonesキャロリン・ジョーンズである。少々平板な丸顔で、両眼が少々離れている顔立ちでは、本作のTechnicolorの色彩なのか、少々緑色した青い目をしているように見え、極めて印象的である。どこかで見たことがある顔立ちと思いながら本作を観終わって、調べてみると、彼女は、テレビ映画シリーズ『The Addams Family』(1964 – 1966)で、一家の母親で、美しく異様に瘦せこけた魔女モーティシア役を演じていた、あの女優であった。

 1930年にテキサス州で生まれたC.ジョーンズは、15歳である劇団に入団し、スカウトされてパラマウント映画社と契約し、1952年に映画デビューを飾る。ビリー・ワイルダー監督の『七年目の浮気』(1955年作)やA.ヒッチコック監督の『知りすぎていた男』(1956年作)などに端役として登場していたが、1957年作の『The Bachelor Party(独身お別れパーティー)』で、主人公に言い寄る女性実存主義者としての演技で注目され、USアカデミー助演女優賞にノミネートされた。こうして、本作で、主演男優二人K.ダグラスとアンソニー・クインの間を揺れる元酒場の女を演じる。

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