ただ、A.Turing達の仕事の画期性は、まずは「総当り攻撃」でエニグマをマシーンを使って解読しようと試みたことである。このマシーンのことをA.Turingは、映画では、自分の子供時代の友人「クリストファー」と名づけたとあるが、実際は「Bomb-e(ドイツ語では「爆弾」の意)」と名付けたようで、それは、ポーランド暗号解読部が製作したマシーン「Bomb-a」の命名から来ている。
では、題名の「The Imitation Game」のImitation(真似る)とは、本作のストーリーとどう関係するのであろうか。映画内ではその謎解きがなされていないように思うが、諸君はどう思われるであろうか。
そこで、A.Turingのことを色々読んでいてある箇所に突き当たった。正にThe Imitation Gameと呼ばれる箇所である。このゲームには、まずA,B,Cの三人が登場する。Cは、AとBと直接ではなく、別個にテキストのやり取りをする。Bは女性、Aは男性で、女BはCと普通にやり取りをするが、男AはCと、女性のふりをして、つまり女性に「真似て」やり取りをし、CはAをどう判定するか、というものである。この男Aを更にマシーンに入れ替えて同じゲームをした場合、それは、同時にまた、いわゆるTuring-Testとなり、この人間のAとマシーンのAとで、果たしてCはその区別ができるか、という人間の知性と人工知能の区別の問題にもなりえるのである。
そして、この「真似る」というゲームをこの映画のストーリーと掛け合わせると、それは、A.Turingが自分を「普通の」人間、更に言えば、普通の「男」に真似たという、この映画のストーリーのもう一本の筋書きが出てくるのである。
ちなみに、この映画でA.Turingの同僚として出てくるIrving John „Jack“ Good(Joan Clarkeといっしょに採用される、細面で眼鏡を掛けた男性)であるが、彼は、後にアメリカでも教授になった人物で、実は、A.Turingから碁のルールを習い、その後ヨーロッパにおける碁の普及に一大貢献をすることになる人物である。
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