2022年8月21日日曜日

オズランド(日本、2018年作) 監督:波多野 貴文

 「苦しくったってえ、悲しくったってえ、コートの中では平気なの。ボールが唸ると、胸が弾むわあ。レシーブ、トス、スパイク。ワン、ツー、ワン、ツー、アタック...」

 上は、あるTVアニメ・シリーズの主題歌の第一節である。上の歌詞を読んで、「ああ、あのアニメ!」と思い出せる方は、アニメの通と言えよう。

 そのアニメとは、1969年に放映された『アタックNo.1』である。『巨人の星』が男性版スポコンものの代表格であるとすれば、この『アタックNo.1』が女性版スポコンものの代表である。

 スポーツ根性ものの醍醐味は、努力が報われて、勝者になれる、或いは、勝者になれるかもしれないという、ポジティブな思いを共有できるところにある。もちろん、そこには「敗者」もいるのであり、努力が報われない、ネガティブな側面もあるのではあるが。

 この「醍醐味」は、スポーツの場面からそれを職業の場面へと移すと、新入社員の「成長」という形で味わえるものである。本作も、基本的にはこの、新入り根性ものの系列に入る作品である。そして、本作の女性主人公も成長する。ただ、ストーリー展開として、設定場所が遊園地であり、人を楽しませることの難しさという点での、ストーリーの深まりがないのは残念である。

 さて、遊園地側の登場人物の殆どが「ノー天気」でポジティブな人間として描かれる中で、一人だけ、表面の明るさにも関わらず、それがどこから来るのか分からないのであるが、ある翳りを見せる登場人物がいる。「オズの魔法使い」と言われる、女性主人公の上司、「小塚」である。(「こづか」ではなく、「おづか」と読ませるところが「味噌」であり、ここから「おず」、つまり「オズ」が出てくるという、駄洒落ではあるのであるが。)

 役柄自体にこの「翳り」を見せる必要はない訳で、これは役者の「芸」ではないかと思い、調べてみたら、この俳優が西島俊秀であった。ウィキペディアで経歴を調べると、国際的にも話題となった映画『ドライブ・マイ・カー』(2021年作、濱口竜介監督)で主人公役をやっている男優である。この映画の西島の演技をニューヨーク・タイムズ紙が次のように批評している:

 西島の演技は、「鋭い批判的な知性を合わせ持っており、そのメランコリックで控えめな存在感が映画の重要なカギとなっている」と。(ウィキペディアによる)

 この批評を読みながら、本作での役作りも、さもありなんと頷くのは筆者だけであろうか。

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